"1229中国版つぶやき「微博」で市場開拓 3億人の口コミ狙え 全日空、紹介者にツアー懸賞 良品計画、ゲーム使い製品体感"

利用者が3億人を超えた中国版ツイッターの「微博(ウェイボ)」。偽物が出回り製品の品質も玉石混交な中国では、友達など信頼できる人が「良い」といった製品がよく売れる。絶大な口コミ効果を持つ微博を日本企業が活用し始めた。(宮沢徹)





「微博」の利用者は3億人超(北京のネットカフェ)=AP



ジェトロの上海イベントで「熊野筆」が紹介され、体験談が微博で広がった

この情報を友達に伝えてくれた人の中から抽選で2組4人に、米ボーイングの最新鋭中型旅客機「787」の遊覧飛行付き日本ツアーを差し上げます――。全日本空輸は2011年9月、2億人以上の利用者を持つネット大手新浪の「新浪微博」でこんなキャンペーンを展開した。

微博の転載はツイッターの「リツイート」とほぼ同じ。画面上の「転発(転載)」をクリックすると全日空の「つぶやき」が、その人のソーシャル上の「友達」であるファンの画面に掲載される。全日空のつぶやきは5日間で約9000回転載された。およそ90万人に「787の全日空」をアピールできた計算だ。

全日空が新浪微博にサイトを開いたのは10年8月。これから増える見込みの日本への旅行客に効率よく情報を伝えるため情報の波及力が強い微博を利用した。

全日空サイトのファン数は約4万人。「微博をみて全日空を知り、サイトにアクセスする人が増えた」(中国統括室の當銘秀隆氏)という。

ブランド構築手段

中国で「無印良品」ブランドの家具や雑貨を販売する良品計画は、11年5月に新浪微博にサイトを開設した。シンプルな美学を追究するメッセージを微博で発信しブランド構築の手段にしている。

13年度から中国でネット販売を始める同社は「価格や派手なデザインではなく、日本のセンスある高品質商品として認知してほしい」(奥谷孝司WEB事業部長)と考えており、サイト上での消費者との対話を通じ、理解を深めてもらうことも検討している。

12年春には無印の製品に囲まれた生活を疑似体験できる、ゲーム形式の仕掛けも導入する。利用者が微博を使って他の人と会話しながら無印の製品を集め、棚に並べたりする。遊んでいるうちに製品の特徴が分かり、愛着がわく仕組みだ。

11年1~6月の中国の電子商取引市場は、前年同期比83%増の3412億元(約4兆2000億円)。成長市場だが価格競争も激しく、ブランド力がなければ原価を下回る値付けを強いられることもある。

「無印だから買うという顧客を増やさないとネット通販での成功は難しい」(奥谷事業部長)。微博はブランド構築の決め手になるとみている。

問い合わせ相次ぐ

「この化粧筆はどこで買えるの」。伝統工芸品、熊野筆を生産する瑞穂(広島県熊野町)に中国から問い合わせが相次いでいる。

同社の化粧筆は12月、上海で開かれた日本商品を紹介するイベントに出品され、中国の人気ブロガーが使い心地を微博でリポートした。その内容は数十万人のファンに知れ渡ったのだ。

このイベントは日本の中小企業の製品を中国で売るために日本貿易振興機構(ジェトロ)が企画した。微博でファン数が多いブロガーや芸術家を招き、彼らが感想を微博などへ投稿してもらうことで認知度を高める戦略だ。

中小企業WEB活用研究会の高橋学代表理事は「新浪微博を活用する日本企業は100社前後。欧米企業より遅れている」と指摘する。広大な中国市場を開拓する企業にとって微博は欠かせないツールになりつつある。

中国市場開拓の大きな武器になりそうな中国版ツイッターの「微博」。だが中国ならではの注意点も忘れてはならない。

上海交通大学は12月、微博が本格的な普及期に入ったとのリポートをまとめた。中国で微博が急速に普及したのは、言論が統制されるなか、匿名での登録が可能で、比較的自由に発言できる点が受けたためとみられる。

だが、懸念も浮上している。7月の高速鉄道事故後、事故対応の姿勢への批判が微博上で盛り上がった。これに危機感を強めた政府は、ネットを含めた社会管理を強化する方針を打ち出した。

北京市は12月、これまで可能だった匿名登録を禁止し、実名や身分証明書の登録を義務付ける方針を表明した。政府や共産党批判をやりにくくする狙いがある。大きな影響力を持つメディアに育った今、いつ規制が強化されても不思議はない。

気軽な発言が思わぬ波紋を呼ぶリスクもある。

「超開心(とても楽しい)」。9月18日、新浪微博でこうつぶやいた日本の女優に1万件以上の批判コメントが集中した。この日は満州事変の発端になった柳条湖事件の日。Vサインをしている女優の写真が反日感情を刺激した。日本企業も対日感情への配慮を忘れると、ブランド毀損を招く恐れがある。

中国で代表的なソーシャルメディアは、ツイッターのように情報を拡散する機能を持つ「微博」。新浪、騰訊控股(テンセント)のサイトはいずれも利用者が2億人を超え、本家ツイッターの利用者数に匹敵する。中国版フェイスブックの「人人網」の利用者は1億2000万人以上。

政府が監視しにくい米国のフェイスブックやツイッターは利用が禁止されており、中国企業による事実上の独占状態。新浪微博の「アクティブユーザー」(頻繁にサービスを使う利用者)は7割を超える。

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