"0111中国、人権状況一段と悪化 海外の民主化運動波及を警戒 活動家らへ弾圧続く :日本経済新聞"

中国の人権状況が一段と悪化している。昨年は年初から中東・北アフリカで相次ぐ政権崩壊につながった民主化・大衆運動の波及を恐れ、中国政府は締め付けを強化。長年、中国共産党の一党独裁に反対してきた活動家らに再び長い懲役刑を下しているほか、人権擁護派の弁護士や社会運動家への弾圧も続いている。

 

中国内陸部、貴州省の貴陽市中級人民法院は昨年12月26日、人権活動家の陳西(本名・陳友才)氏に対し懲役10年の実刑判決を言い渡した。インターネット上で発表した36本の記事が「国家政権転覆扇動罪」に問われた。二審制の一審判決だが、支援者などによると陳西氏は「中国の司法制度で無実を追求するのは無意味」として控訴せず実刑が確定する見通しだ。

陳氏の投獄は3度目。1989年6月の天安門事件の際、地元の貴陽金筑大学の教員として民主化運動を指導したことから事件後に3年間服役。出獄後の95年には「中国民主党貴州支部」設立にかかわったとして「反革命集団組織指導罪」に問われ、懲役10年の刑を受けた。最近では「貴州人権研討会」を立ち上げ、人権擁護活動に取り組んできたが、同会が先月突然非合法化され、陳西氏も逮捕されていた。

陳西氏への判決の3日前には、四川省の遂寧市中級人民法院が天安門事件の指導者の一人だった陳衛氏に懲役9年の実刑判決を言い渡した。「罪状」は陳西氏と同じで「容疑」も海外サイトへの投稿だった。香港を中心に活動する支援団体、維権網の夏雷●(おんなへんに尼)・国際部主任は「アラブ世界での民衆運動が中国政府の恐怖を引き起こし、弾圧につながっている」とみている。

弾圧の対象は「天安門」の活動家にとどまらない。中国国営の新華社は行方不明になっていた人権派弁護士の高智晟氏に対する5年の執行猶予が満了前に突如取り消され、2006年12月に下された懲役3年の刑が適用されたと伝えた。高氏は中国が非合法化した気功集団、法輪功の弁護などを手掛けたことが政権転覆扇動罪に問われた。

弾圧強化について米国に本部を置く中国人権の譚競嫦・執行主任は「活動家は効果的かつ緊急の支持を必要としている」と述べ、中国政府への圧力を高めることを呼び掛けている。維権網は「記憶にあるなかで11年は中国の人権や人権活動家にとって最もひどい1年の一つ」と総括している。

もっとも中国政府が締め付けを緩める気配はなさそう。治安維持の元締である中国共産党の周永康・政治局常務委員は昨年末開いた全国政法工作会議で、中央指導部交代を伴う12年秋の党大会を前に「社会の安定」に力点を置く姿勢を改めて強く打ち出している。

(香港で、川瀬憲司)

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