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【台北=新居耕治】台湾の総統選挙で14日、中国との融和を進める馬英九総統(国民党主席)が再選されたことで、中台関係は経済を中心に今後も改善基調が続くことになった。金正日総書記の死去で北朝鮮情勢が不透明感を増すなか、台湾海峡が東アジアの不安定要因になる事態はひとまず回避された。国民党は立法院(国会)の過半数は確保したものの、馬総統の得票率は前回に比べ7ポイント弱下がり、台湾住民が中国との急接近は警戒していることも浮き彫りになった。(1面参照) 国民党本部前で盛り上がる馬英九総統の支持者たち(14日、台北)=共同 「これからの4年は両岸(中台)の相互信頼をさらに深め、台湾にとって永続的な平和環境を整えたい」。馬総統は14日夜、支持者の前で中国との関係改善を続ける意志を表明した。 馬総統が激戦を制した背景には、欧州債務危機などで経済の先行きに不透明感が強まるなか、台湾住民が安定を求めたことがある。馬総統は最終盤で、2008年の金融危機を乗り越えた経済運営の実績を強調。民進党の政権復帰で中台関係が揺れれば、「台湾は耐えきれなくなる」と訴えた。 産業界でも、EMS(電子機器の製造受託サービス)世界最大手の鴻海精密工業やスマートフォン(高機能携帯電話)大手の宏達国際電子(HTC)、海運大手の長栄集団など大手企業トップが相次いで馬総統支持を表明。最終的な追い風になった。 しかし、台湾では中国との統一を望まない住民が8割を占め、対中政策は微妙なバランスが欠かせない。 馬総統は昨年10月、中国との和平協定について「今後10年間この問題に触れないわけにはいかない」と発言。民進党の蔡英文主席は「非常に危険だ。台湾の現状変更につながる」と強く批判し、馬氏の支持率がいったん下がる結果になった。 馬氏は改めて記者会見を開き、和平協定交渉を始める前に住民投票で可否を問う姿勢を打ち出し、ようやく態勢を持ち直した。統一につながりかねない動きに対する台湾住民の拒否反応が根強いことを示した。 中台関係に詳しい台湾の淡江大学の張五岳副教授は「馬氏が2期目で和平協定締結に動く可能性はほぼなくなった」と指摘する。馬総統が中国が嫌う住民投票の実施を打ち出したことで、「北京当局は受け入れられなくなった」というわけだ。 馬総統は当選後の記者会見で、中国の胡錦濤国家主席と会談する可能性について「(台湾当局が名乗る)中華民国の総統としての身分でなければ会うつもりはない」と語った。中国と対等の立場でなければ、政治分野での協議には慎重に臨む考えを示唆したものだ。 立法院(国会)選で、国民党が8議席減らしたのも、中国への過剰な接近に慎重な住民感情を反映している。馬総統は台湾の世論動向と中国の出方をみながら、対中関係で微妙なかじ取りを探ることになりそうだ。