"0116中国経済の変調、鮮明に 「熱狂後」の戦略立案カギ :日本経済新聞"

輸出型産業の不振と民間企業倒産の増大、住宅バブルの崩壊、自動車など高額商品の売れ行き鈍化。中国経済の変調が鮮明になって来た。今年の成長率について8%割れを予想する声も少なくない。中国への依存を急激に深めてきた多くの日本企業にとっては立ち止まって、中国市場観を修正すべき時だろう。

中国経済の変調、危機説は1990年代以降、繰り返し指摘されてきた。そのたびに中国はそれらを覆すように力強く成長してきた。今回も単なる調整局面とみる企業人も当然ながら多い。だが、今思い出すべきは、どんな国の高度成長にも必ず終わりが来るということだ。

まず必要なのは過去4~5年の中国の需要膨張の評価だ。自動車の年間販売台数は2007年から10年の3年間で1000万台近く増加。時速250キロ以上の高速鉄道は07年に営業運転を始めてから4年で5000キロを突破した。住宅や液晶テレビも異常な伸びを示した。これを人口大国の高成長期だから当然とみるのはやはり無理がある。

長年、蓄積されてきた中国人の購買欲求のダムが解き放たれ、一気に現実化しうえ、エコカーへの購入補助金など政府の支援策、北京五輪、上海万博と続いた国家的イベントに伴う高揚感が膨張を手伝った。高速道路、鉄道、電力などインフラ建設ではリーマン・ショック直後の08年11月に打ち出された4兆元(当時のレートで57兆円)の財政出動がブームを生み出した。

そうした要因が薄れれば、需要の伸びにはブレーキがかかる。12日に発表された11年の自動車販売台数が多くの予想を裏切って前年比2.5%増と09年の45%増、10年の32%増から一気に失速したのは象徴的だ。高速鉄道建設は昨年7月の浙江省温州での事故以降、安全性と収益性への懸念から新規建設に急ブレーキがかかっている。

さらに個人消費を裏で支えていた住宅バブルによる資産効果も住宅価格が下落に転じたことではげ落ちつつある。構造的には、07年から10年までの間に需要が大きく先食いされ、その反動が表面化しているとみることができる。

これだけならば数年後には需要の伸びは急回復しそうだが、人民元高と人件費上昇による中国の競争力低下、15年ころに始まる生産年齢人口の縮小が需要回復の勢いをそぐ恐れがある。日本企業は中国が高成長から安定成長のステージに移行しつつあるという現実を直視する必要がある。右肩上がりの需要予測は危険なかけになりかねない。

もちろん伸びが鈍化しても中国需要は日本企業にとって国内市場と肩を並べる重要な収益源となるのは間違いない。今すべきことは、まずこれまでの自社の中国での売り上げ増が、市場の膨張を追い風にした漫然とした成長ではなかったか、という検証だ。

そのうえで、中国市場における自社の位置付け、戦略的攻略分野をより明確にし、商品開発、生産、販売体制を安定成長期向けに修正することだろう。熱狂が過ぎ去った後にこそ、真の成長チャンスは訪れる。ここでシフトチェンジできた企業こそ次のステージの覇者になる。

(編集委員 後藤康浩)

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