"0120事業再編、中国でスト続々 日立・パナソニック…雇用不安広がる 従業員、ネットで情報拡散 :日本経済新聞"

中国の日系メーカーの工場で、事業再編に絡んだストライキが相次いでいる。企業が進める生産体制見直しや事業売却が従業員の雇用への不安を呼び起こし、補償としての一時金支払いなどを要求されている。インターネットなどを通じて他工場の動向も広まりやすくなっており、従業員管理は難しさを増している。

 
 

「日本企業が従業員をいじめている」と横断幕が掲げられた(昨年12月、広東省の日立工場)

大型工場が集まる広東省深セン市沙井に14日、緊張が走った。パナソニックグループのスピーカーなどの電子部品工場「三洋電機蛇口」の従業員が街道に繰り出して、会社側に「補償金」の支払いを要求。香港紙によると警察と衝突したのだ。

きっかけは今月初めの事業再編だ。三洋電機が設立した同工場は、パナソニックのデバイス部門の生産拠点としての運用を開始。社員証のロゴが変わって初めて「三洋がパナソニックに買収された」と知った従業員らの間で不安が広がり、約3千人のストに発展した。

同じ深セン市では昨年12月にも、日立製作所のハードディスク駆動装置(HDD)の部品工場でストが3週間続いた。日立がHDD事業を米ウエスタン・デジタルに売却することに対し、従業員が今後の雇用や待遇に不安を持ったのが原因だ。

「『2Nプラス1』の支払いを求めている」。スト中、ある女性従業員は勤続期間に基づく一時金を要求していることを明かした。各従業員の勤続年数(N)に2を掛け、1を足した数字の月数の給与が要求額だ。従業員らは給与の基礎となる勤続年数が新体制でも引き継がれるかを不安視し、日立に補償を求めた。

女性従業員は「ペプシコの従業員は勤続年数に基づく一時金を得た」とも話した。米飲料大手、ペプシコは中国事業を台湾系食品大手の康師傅控股に売却するのに当たって、従業員に一時金を得る権利を認めた。

コンサルタント会社、キャストコンサルティング広州支社(広東省)の前川晃広総経理は「労働者の持つ情報が豊富になった」と話す。情報源の一つが交流サイト(SNS)などのネットだ。スト参加の呼びかけに使われるほか、他の工場従業員の動向やストの成果などの情報もすぐ広がる。労働者の権利保護に熱心な弁護士も情報源。法律や他工場の動向を教え、報酬を得ているという。

中国では2010年のホンダの工場ストのように待遇改善を求める紛争は多かったが、これに事業再編型が加わった形。企業が中国などで進める事業見直しの波乱要因になる可能性もある。

広東省の日系企業関係者は「日系工場の労使紛争に対する地元当局の姿勢が変わってきた」と指摘する。以前は当局が主体的に従業員を説得。ストが今後の企業進出に影響するのを恐れたためだが、最近は「情報収集をしただけで引き揚げることが増えた」という。

日系工場の多い沿海部では、用地や労働力の供給が頭打ちになり、先端技術の工場を除く外資系企業を支援する意識が薄くなっている。一方で労働者の情報量や権利意識は増大。中国の経済・社会の構造変化は企業経営をいや応なく揺さぶる。

(広州=桑原健)

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