"0122中国モノマネ工場 阿甘著 ハイテク製造現場の新しい現実 :日本経済新聞"

「山寨(さんさい)」という中国語がある。「山賊のとりで」の意味だ。転じて、偽ブランド商品や正規の許認可を得ていない製品などを形容する表現として定着した。典型は携帯電話。中国では政府の許可を得ないと生産できない建前だが、ここ数年、無許可の工場群による山寨ケータイが市場を席巻している。その勢いは他の多くの途上国にも及ぶ。

この山寨現象をどう評価するか。脱法行為であり長期的に中国の競争力を損なうとの声がある一方、前向きの評価も中国では少なくない。本書はケータイ以外にも広がるこの現象の実情や背景を紹介しつつ、後者の立場を強く打ち出している。主張を要約すれば次のようになろう。山寨現象は、規制をつかさどる政府や、規制で新規参入から守られている大企業といった既得権益集団を揺るがし、本当の意味で需要に応える商品を市場に供給している――。

「国進民退」(国有企業が躍進し民営企業は衰退する)といわれるほど、中国では政府と結びついた国有大手の力が強まっている。こうした状況の打破を著者は期待しているようだ。主張に賛同するかどうかは別として、中国のハイテク製品の製造現場で起きている「新しい現実」は日本の産業界も無視できない。文章は粗削りで旧聞に属する情報も目立つが、「世界の工場」のダイナミズムが伝わってくる。徐航明・永井麻生子訳。(日経BP社・1800円)

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