"0425日本語指導へ標準モデル 文科省 定住外国人の子供対象 来年にも正式授業に :日本経済新聞"

 定住外国人の増加を受け、文部科学省は24日、日本語がうまく使えない児童・生徒への指導のあり方をまとめる方針を決めた。現在は指導方法が各自治体任せで、支援態勢にばらつきがあるが、標準モデルを示して教えやすくし、授業についていけない子供への支援を強化する。今年度中にも指導態勢をまとめる。

 

 文科省は2013年にも学校教育法の施行規則(省令)を改正し、日本語指導を正式な授業として行うことができるようにする。

 同省がまとめるのは、ひらがなの読み書きや国語や社会などの授業を理解できるレベルまで引き上げる指導法、通常のクラスに戻すタイミングの判断基準など。

 日本語を教える指導者が足りなかったり、対象となる子供が少ないため在籍している学校に特別クラスをつくるのが難しかったりする場合、子供が他校に通うのを認めるかなども検討する。

 5~6月に自治体や学校を調査してどのように教えているか実態を把握、モデル作りに生かす。指導ノウハウを持った教員を増やすなど、支援態勢の充実も目指す。

 同省によると、公立小中高校などで日本語指導が必要な外国籍の児童・生徒は10年9月現在で約2万8000人。00年と比べて約1万人増えた。これ以外に、日本国籍があっても保護者が外国人などで言葉の壁に悩む子供が約5500人いる。日常会話はできても、教科の学習は困難なケースも多い。

 日本語の指導は現在、教育課程に含まれておらず、各自治体が独自に放課後に補習したり授業時間内に別クラスを設けたりしているが、子供や学校の負担になる場合も目立っている。

"0325日本企業、世界で勝ち残るには パンカジ・ゲマワット氏 「日本流」への過信捨てよ 文化の壁「悟り」で破る :日本経済新聞"


 日本企業のグローバル化が加速している。多様な新興国が成長をけん引する世界経済のなかで、国境を越えたビジネスを成功させるには何が求められるのか。経営戦略論の世界的権威として知られ、「コークの味は国ごとに違うべきか」などの著作によって各国企業のグローバル戦略に一石を投じてきたパンカジ・ゲマワット氏に聞いた。


IESEビジネス・スクール教授 パンカジ・ゲマワット氏

 ――「グローバルスタンダード(世界標準)」という言葉を経営者からあまり聞かなくなった。

 「グローバル化は、行き過ぎて語られることが多い。インターネットなどの技術革新が国境の壁をなくして『世界はフラット化する』とも言われていた。しかし、世界は多様なままだ」

 「例えば交流サイト(SNS)の米フェイスブック。世界中の人と、あたかも隣人のようにつながって友人になれるというが、交流の85%以上は国内同士であり、増えたのは国内の友人だったという分析がある」

 「既存の人間関係や文化が持つ力は技術の進歩を上回る。少なくともあと数十年は、国境が意味を持たなくなるシナリオなど想像すらできない。企業がグローバル化を進める際もこのような『セミ・グローバリゼーション』というべき現実を意識しないと失敗する」

 「5年前に『コークの味は国ごとに違うべきか』という本を出版した。答えは今もイエス。文化が違えば売る商品も差別化すべきだ。すべての人が喜ぶ商品を目指して開発を進めると、結局は誰も喜ばない商品ができることになる」

 ――落とし穴に陥った例を教えてほしい。

 「米小売り大手のウォルマート・ストアーズがわかりやすい。04年、同社の海外での収益性は、本社のある米アーカンソー州から遠ざかるほど悪かった。米州のメキシコやカナダはまだ良かったが、ドイツ、韓国、中国は悪い」

 「同社のトップはかつて、アーカンソー州からアラバマ州にも進出できたように、アルゼンチンでも同じビジネスモデルで成功すると語っていた。海外に出店する際も、売る商品のリストは米国の本社が作り、現地に送っていた」

 「結局は地元の人々の需要をつかみ切れていなかった。どこでも我が家と同じという誤った発想をしていたから、アーカンソーの本社から遠ざかるほど問題が深刻化したのだ」

 「しかし、同社はその後変わった。海外に進出する際も、地元の競合相手の商品リストの分析から始め、そこにウォルマートの特色を加えるようにしている。さきに訪れた中国の店舗では、食材売り場で亀を売っていた。アーカンソーの店舗ではありえない光景だ」

韓国企業に好例

 ――成功した例は。

 「日本での焼酎販売で成功した韓国のハイトジンロだ。同社は第1に、日本向けの焼酎は甘みを90%も落とした。韓国人は甘い焼酎を好み、そのままでは日本で受け入れられないと考えた。第2に、水やお湯で割っても味を損ねないように成分を変えた。韓国ではストレートが普通だ」

 「第3に、パッケージを高級化し、ボトルも韓国のものより大きくしてウイスキーを競合商品に据えた。日本での高い流通コストを吸収するために、韓国より高い価格で売る必要があったからだ。第4に、広告で韓国色を消した。『メイド・イン・コリア』は日本で人気がないと考えた」

 ――韓国のサムスン電子には、地域にどっぷりつかって生活習慣を吸収する海外研修制度がある。

 「日本企業も今すぐに採用すべき策だ。地元の文化を理解した上で生まれる商品は、最先端ではないかもしれない。だが、思い返すべきことがある」


 「1980年代に中国に大規模な投資をしたが、成果が上がらなかった日本企業は多い。中国の1人当たりの所得は日本の数十分の1にすぎなかった。にもかかわらず、日本人が好きな商品は中国人にも受けるという発想はなかっただろうか。経済格差のある新興国が主戦場となる今に通じる問いかけだ」

 ――日本企業による海外企業の買収が増えている。注意すべきことは何か。



 「バブル期の買収ブームから学ぶことは多い。まず値段。カネ余りの時に買収すると買収価格が上がり、採算がとれなくなりやすい。今も中国企業が海外企業の買収で異常な規模の資金を投じている。90年までの日本と同じ病にかかっているかのようだ」

 「買収後、企業価値を創造する計画が明確であることが欠かせない。買収後の企業価値が、2社の価値の合計を超えていく展望がないと、買収価格が高い分、失敗の可能性が高まる」

人事制度見直し

 ――海外企業を買収する場合、文化の壁を乗り越える必要がある。

 「国際的なM&A(合併・買収)が抱える最大の試練だ。なかでも買収後の人材の融和は難しい。日本企業の課題を並べると、頭文字が『SATORI(悟り)』という素晴らしい日本語になる」

 「SはShift(転換)。まずは視点をがらりと変える必要がある。企業は国内だけではなく海外、それも新興国を向いて経営をすべき時代に入る。経営トップだけでなく、社員全体にこの認識が浸透することこそが、外国企業と融和するための第一歩だ」

 「AはAdaptation(適応)。買収後は海外の人事制度を現地の事情に合わせて変えることをためらってはならない。海外の人事制度を本社が指示するなど硬直的な企業が日本には多いと思う。インドや中国で、日本と同じ人事のやりかたが通用するだろうか」

外国からも採用

 ――発想を変えて外国の風土に合わせるべきだと。

 「そうだ。Tはその手段で、Talent(才能)の外国からの採用を意味している。米国ですら主要企業は最高経営責任者(CEO)の1割以上が外国人だ。オランダだと3割、スイスでは7割を超えている。これに対し、日本企業は外国人のトップも、本社にいる外国人の幹部も少ない」

 「OはOvercoming(克服)。習慣が異なる外国人同士には偏見もあるだろう。この問題を乗り越える必要がある」

 「Rは(鎖国中の江戸時代にオランダから入ってきた)Rangaku(蘭学)を指している。これまで国内市場に特化してきた日本企業は、当時の蘭学者が果たした世界との橋渡し役を増やすべきだ。海外留学した日本人はもちろん、日系の外国人も候補になる」

 「最後のIはIntegration(融合)の深化だ。海外企業の買収を繰り返して成長してきたメキシコのセメント大手、セメックスは参考になるだろう」

 「同社はメキシコ人が幹部全体の3割しかおらず、国ごとに文化の違いがあることを社員にも研修で徹底している。社内で使うのは公用語のスペイン語ではなく英語だ。買収後は90日以内にIT(情報技術)システムを統一し、情報を早く共有しようとしている」

 ――日本にも多くのグローバル企業がある。

 「私は貿易、資本、情報、人材などの面で、各国がどこまで世界と交流しているのかを分析している。貿易で見ると、日本は主要125国中122位だ」

 「特にサービスの輸入の面で、経済規模の割には世界に開けていない。貿易に限らず、日本は外に向かうグローバル化に比べ、外から来るものを受け入れるグローバル化に弱いという結果が出ている」

 「世界のグローバル化はあまり進んでいない。だが、日本は他の国と比べても遅れていると言わざるを得ない。海外企業の買収を進めている時期だけに、日本の人々にこの結果を伝えると誰もが驚く。だからこそ、視点をがらりと変える必要があると思うのだ」

31歳でハーバード大教授
 インド出身。16歳で米ハーバード大に入学した。博士号を取得して米大手経営コンサルタントのマッキンゼーに勤務したが、経営戦略論の泰斗、マイケル・ポーター教授の誘いで経営大学院の教員としてハーバード大に復帰した。1991年には史上最年少の31歳で同大学院の教授に就任し、話題になった。
 2007年に「コークの味は国ごとに違うべきか」を出版。これ以降、世界的に発言が注目されるようになる。
 同書では通話に占める国際電話の比率、大学生に占める外国人の比率、海外投資比率などを集計し、グローバル化が一般に思われているほど簡単に進まないという仮説を打ち出した。世界の企業経営にも影響を与えている。
 現在はスペインのIESEビジネス・スクール教授。著述活動のほか、世界の企業や政府にグローバル化についての助言をしている。52歳。

「和魂洋才」こそ経営者の力量に

 日産自動車は今月、新興国専用の低価格ブランド「ダットサン」を打ち上げた。ゲマワット氏が主張するように、日本企業も進出先の事情に応じて製品を作り、競争に臨みつつある。

 ただ、疑問も浮かんでくる。優れた「日本流」には、マンガのように世界の方がついて来てくれるのではないか、と。

 京セラを興した稲盛和夫氏は、日本企業が海外で成功する条件を「和魂洋才」と語っていた。現地の風土を吸収する一方、外国でも通用する日本の良さを見極めることが経営者に求められる手腕に違いない。

 ゲマワット氏の指摘通り世界に多様性が残るなら、それは日本独自の強みを生かす機会にもなる。

(編集委員 梶原誠)

"0130 50年後の日本、65歳以上5人に2人 総人口3割減、8674万人 厚労省が推計 :日本経済新聞"

厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は30日、長期的な日本の人口動向を予測した「将来推計人口」を公表した。2060年の日本の人口は8674万人と10年比32%、4132万人減少すると試算した。65歳以上が5人に2人を占めるほか、生涯未婚の比率が5人に1人に高まり、少子高齢化が加速するという。社会保障制度の将来像の確立が急務となる。

 

将来推計人口は国勢調査をもとに5年ごとに改定している。厚労省が同日の社会保障審議会人口部会に報告した。

総人口は、足元でピーク圏にあり、10年は1億2806万人。48年には1億人を割り込むという。少子高齢化の構図が加速するのが特徴で、10年から60年にかけて、14歳以下の年少人口が892万人(53%)減って791万人になる一方、65歳以上の老年人口は516万人(18%)増えて3464万人になる。65歳以上が人口に占める割合は23%から39.9%まで上昇し、5人に2人が高齢者になる。

働き手の減少も深刻になる。10年に8173万人いた15~64歳の生産年齢人口は15年後の27年には7000万人を割り込み、50年後には4418万人とほぼ半減してしまう。人口に占める割合は10年の63.8%から60年には50.9%に低下。現在の社会は現役世代3人が高齢者1人を支える構図だが、50年後には現役世代1人で高齢者1人を支える社会となる。

厚労省は「前回推計とほぼ同じで、短期的には高齢者制度などの施策に大きな変更は必要ない」とみている。ただ、社会保障の制度の持続可能性が改めて問われることになりそうだ。女性
や高齢者などの労働力率を高めるなど生産性の大幅な引き上げが必要になる。

今回の将来推計人口では、女性が生涯に産む子どもの平均数を示す出生率の長期見通しは、最近の出生率の改善傾向を反映し、2005年の前回推計の1.26から1.35に上方修正した。ただ10年は1.39と回復した出生率の上昇は続かず、14年からは再び低下に転じる見通しだ。1995年生まれの世代の生涯未婚率は2割に達する。



出生率は晩婚化や晩産化の影響で05年には過去最低の1.26まで低下したが、その後はいわゆる40歳前後に到達した「団塊ジュニア」(1971~74年生まれ)の出産増で上昇、10年には1.39まで回復した。

ただ今回の推計では14年から再び低下傾向に転じ、24年には1.33まで下がると分析。その後は若干持ち直すものの60年時点でも1.35の低水準にとどまる。

非婚化や晩婚化は一段と進むとみている。1960年生まれの世代の生涯未婚率は9.4%だが、95年生まれの世代は2倍に増える。平均初婚年齢は60年生まれの25.7歳から95年生まれで28.2歳まで上昇する見通しだ。

平均寿命も60年生まれの人で男性で84.19歳、女性で90.93歳と10年よりそれぞれ4年程度延びると分析している。

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"0122「クールジャパン」をどう売る 上野氏「海外人材育て企業を変革」 梅沢氏「コンテンツや食を一体で」 :日本経済新聞"

「クールジャパン」と呼ばれるアニメや食など日本独自の文化・ソフト産業が新たな輸出の担い手として注目を集めている。「日本」をどう売るか。多くのキャラクターを抱える玩具大手バンダイの上野和典社長と、政府の有識者会議のメンバーで、コンサルティング会社A.T.カーニーの梅沢高明・日本代表パートナーが語り合った。(文中敬称略)

――官民有識者会議はクールジャパン戦略を打ち上げました。狙いは何ですか。


A.T.カーニー日本代表・梅沢高明氏

梅沢 ファッション、食、メディアコンテンツ、地域産品、住まい、観光の6分野を創造的な「クリエーティブ産業」と位置付け、経済産業省を中心に育成を始めた。同時に日本のソフトパワーを情報発信し、現在2兆円程度の海外での事業規模を2020年までに10兆円規模に拡大するのが当面の目標だ。

個別の「点」の努力だけでなく、これをつなげて「面」で勝負する戦略が求められる。日本文化の魅力を広くアピールし、コンテンツや食など日本文化を一体として輸出していきたい。

フランスはドゴール大統領時代に高名な作家を大臣に据えて、文化立国政策を推進した。それが今の力につながっている。高級ブランドのモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)など文化企業が国の経済を支えている。バンダイは海外展開では歴史も古く、期待も大きい。

バンダイ社長・上野和典氏

上野 期間は長いが、本当に世界を席巻したのは「たまごっち」と戦隊シリーズの「パワーレンジャー」だけ。今はガンダムや仮面ライダーも紹介しているが、そこまでは至っていない。確かに日本の商品に潜在力はあるが、売り方が弱い。当社に米国の娯楽業界のアドバイザーがいるが、「バンダイは宝の山だ。なんでもっと仕掛けないのか」と言ってくる。

――日本の内向きな体質が独自の文化を生んだ側面もあります。海外戦略との両立はうまくいきますか。

梅沢 クールジャパンの成功で不可欠なのはいかに開国するかだ。日本のクリエーターの世界に外国人がどんどん入ってきて欲しい。そのためには移民政策など制度面の手直しも必要となる。例えば外国人が日本の調理学校で日本食を学んでも査証(ビザ)の関係で日本国内のレストランでは働けず、日本企業の戦力になれない。すしチェーンが世界展開しようとしても人材面で足かせとなる。

上野 当社の売り上げの大半は日本。内需が大きかったので、海外を伸ばさないといけないという危機感がなかった。しかしメガヒット一発で3年は潤うので海外に売り込みたい。そのためには海外で活躍できる人材を育てることが重要だ。今は長期的な視点で新人から外国人採用を増やしている。15人ぐらいかな。

日本の徒弟制度のような人間関係が合わない人もいるが、育ってきた人もいる。組織が変わるきっかけになっている。体質を完全に変えるには10年かかるが、3年ほどでだいぶ変わってきた。競合他社へ転職するなどのリスクもあるが、今は開発の中枢に入れている。

梅沢 グローバル展開には新しい発想が不可欠だ。同じ業界で手を組んで市場を開拓していくことが大事だ。例えば中国の一等地では1階は家賃が高く、個別企業ではなかなか入居できないが、まとまれば家賃交渉もできる。食品産業も農業・漁業から加工食品、給食など太いサプライチェーン(供給網)ごとに出て行くと効果的ではないか。

上野氏「クリエーターへの支援を」 梅沢氏「ネット時代への対応急務」

――日本の文化は海外でどのように受け止められていると感じていますか。

上野 確かにコンテンツのユニークさは感じてもらっているが、地域によって温度差がある。アジアではストレートに日本を評価してもらっているが、欧米の場合、米娯楽大手ディズニーが圧倒的に強いし、ハリウッドの影響力が大きい。日本のロボット玩具「トランスフォーマー」も、ハリウッドが映画を作ったことで人気が高まった。

ハリウッドの強みはキャラクターだけでなく、その背景にある世界観も売るということ。確かにフランスなどで日本のアニメの登場人物の格好をするマニアもいるが、個々のパーツが好まれているだけで世界観が受け入れられているわけではない。

梅沢 クールジャパンは一部のマニア向けではなく、もっと幅広い。例えばすしの場合、ロンドンにある「YO!SUSHI」は英国に50店以上あり、中東などにも進出している。「wagamama」という英国のラーメン店は17カ国に展開している。ただ日本食のチェーン店を世界で広げているのはいずれも外国人で、本家本元の日本からの発信ではない。

――市場開拓にはどんな対策が必要でしょうか。

上野 今はテレビを通じてアピールして、グッズを売るというモデルだが、これでは古い。

梅沢 ハリウッドが関与すれば世界に売れるが、収益面でハリウッドが有利になる。有力なテレビ局はハリウッドが牛耳っており、ネット時代に対応することが課題になる。

上野 ネットは意識している。ガンダムの新作もネットに同時配信している。1週間で100万回のダウンロードがある。

――国は効果的な支援ができるでしょうか。

上野 すべて国が解決できるわけではない。だが日本文化を生み出すクリエーターや職人は世界から尊敬されている。こうした人をバックアップし、その存在を広く知らしめることに期待したい。

梅沢 一人で海外に出るのは資本やノウハウの点で難しく、クリエーターの海外進出を支援する仕組みが必要だ。韓国は今やファッションや食など海外市場を席巻しているが、10年前まではそこまでの力はなかった。だがハリウッドに学び、国の補助もあってここまできた。海外で稼いでカネがクリエーターに回らないと新たな成長もない。

うえの・かずのり 77年(昭52年)武蔵工業大(現・東京都市大)工卒、バンダイ入社。05年社長。チーフ・ガンダム・オフィサーの肩書も。58歳。

うめざわ・たかあき 86年(昭61年)東大法卒、日産自動車を経て米A.T.カーニー入社。99年から日本法人、07年から現職。49歳。

<聞き手から>受け身体質脱し継続的な発信を

「日本ってかっこいい」という意味を示すクールジャパンだが、最初は海外で名付けられたものだ。日本固有の食文化である「すし」も主に外国人が海外で事業展開しているように、経済のグローバル化が進んでも日本の社会体質は受け身なまま。「三つ星レストランの数で東京はパリを上回る」(梅沢氏)という資源を国富に結びつけられない歯がゆさがある。

ブランドは一日にしてならず。新興国の低価格品に押される工業製品と違い、文化・ソフト産業は価格よりも価値が優先される。海外市場を開拓するには「私っていかしているでしょう」という積極性と継続的な情報発信力が欠かせない。

(編集委員 中村直文)



コンテンツ大国と言われる日本。東京・秋葉原には日本のアニメ・漫画ファンの外国人が世界各国から多数訪れる。だが最近は韓国発のドラマ、中国発のアニメなど、アジアのコンテンツも存在感を強めている。

経済産業省が昨年5月に発表した「クール・ジャパン戦略推進事業」の調査報告書によると、日本の2010年のコンテンツ市場規模は352億ドル(約2兆6993億円)と米国に次ぐ規模だ。アジア各国(日本を除く)の市場は現時点で合計しても日本に及ばないが、成長率は7%で、20年には日本を約5割上回る規模になると試算している。

玩具メーカーやアニメ制作会社など日本のコンテンツ各社もアジアでの成長を狙うが、著作権管理などが壁となり、順調に進んでいない企業が多いのが現状。日本貿易振興機構(ジェトロ)はアニメや映画などの海外見本市にジャパンブースを出展し、日本のコンテンツ企業と現地の有力企業との商談支援も進めている。



「クールジャパン」は競争力があるか――。日本経済新聞電子版の読者に尋ねたところ62%が「ある」と答えた。「日本人の繊細な感性が生かされた分野だ」として期待する意見が目立った。海外在住者からは「現地の子どもの流行は日本文化一色だ」との実感のこもった声も聞かれた。

「かつてあったが、低下している」との回答は27%。「中国など新興国への技術やノウハウの流出」を恐れる人が多い。「人材育成の環境を整えるべきだ」との意見も相次いだ。競争力が「ない」との回答は11%だった。

世界に発信する手段についての問いでは「関連する企業や個人に補助金などを給付する」(23%)「政府内に専門組織を設置する」(同)など国による産業育成を望む意見がある一方、「特に必要ない」との回答も24%に上った。

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"0103人口自然減最大、20万人超 2011年推計 婚姻67万組で戦後最少 少子化さらに加速も"

2011年の日本の人口減少幅は過去最大の20万4千人にのぼることが31日、厚生労働省の人口動態統計(年間推計)で分かった。出生数が死亡数を下回る自然減は5年連続で、20万人を超えるのは初めて。婚姻件数は67万組で戦後最少となる見通し。東日本大震災をきっかけに「絆」が再認識された年だったが、前年比3万組の減少で、少子化の一段の加速につながる可能性もある。



年間推計は10月までの速報値などを用いて算出。出生数は戦後最少の105万7千人で、前年比1万4千人(1.3%)減った。死亡数は126万1千人。東日本大震災の死者(昨年12月30日現在で1万5844人確認)の影響もあり、同6万4千人(5.3%)増えて戦後最多を更新した。

死因別では、がん(35万8千人)、心筋梗塞など心疾患(19万8千人)、脳卒中など脳血管疾患(12万6千人)の三大死因の順位は変わらず、いずれも前年より増えた。

自然減が始まったのは05年。06年は出生数が増え自然増だったが、07年以降、再び自然減に転じた。10年は12万5千人だった減少幅が急拡大したことについて、厚労省は「出産可能な女性の人口が減り出生数が減った。高齢化に加え、11年は震災で死亡数が増えた」と分析している。

婚姻数は年間100万組を超えた1970年代前半をピークに減少し、78年に80万組を割り込んだ。87年にこれまで最少の69万6千組となった後、88年からは70万台で推移していた。厚労省は「少子化で結婚適齢期の女性が減っていることが影響している。初婚年齢が変わらなければ今後も減少が続く」と説明する。

一方、離婚件数は23万5千組で、前年比1万6千組減。96年に20万組を突破し、02年に28万9千組で戦後最多となって以降は減少傾向が続く。

国立社会保障・人口問題研究所が10年6月実施した「出生動向基本調査」では、18歳以上35歳未満の未婚者のうち、「交際している異性がいない」とした男性は05年の前回調査より9.2ポイント増の61.4%。女性も4.8ポイント増の49.5%だった。

「一生結婚するつもりはない」と答えた男性は2.3ポイント増の9.4%、女性は1.2ポイント増の6.8%で、独身志向の未婚者の増加傾向が明らかになっている。

▼人口動態統計 出生、死亡、婚姻、離婚、死産の5つについて戸籍法などに基づく市区町村への届け出を厚生労働省が毎月集計し、調査月の2カ月後に公表する「速報」と5カ月後の「概数」のほか、1~12月の1年間分が翌年9月に「確定数」としてまとめられる。年間推計は10月までの速報と7月までの概数を基に算出する。

総務省が31日発表した人口推計によると、2012年1月1日現在で20歳の新成人は前年より2万人少ない122万人で、5年連続で過去最少を更新した。第1次ベビーブーム世代が成人に達し、ピークだった1970年(246万人)の半数を初めて下回った。12年の干支(えと)の辰(たつ)年生まれは1022万人で、年男は496万人、年女は526万人。

新成人は男性が62万人、女性が60万人。総人口に占める割合も低下して0.96%となり、11年に続き1%を割り込んだ。推計は68年開始。71年以降は減少に転じたが、第2次ベビーブーム世代が成人に達すると再び増加。94年に207万人となった後は減少傾向だ。

辰年生まれは人口の8.0%で、十二支別では10番目。出生年別では第1次ベビーブーム後の52年生まれ(12年の誕生日で60歳)と、第2次ベビーブーム後の76年生まれ(同36歳)がともに179万人で最多。64年生まれは167万人、40年生まれは153万人となっている。

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"1030検証なき国家は変わるか 編集委員 坂本英二"

いま開かれている臨時国会は、2つの点で歴史に刻まれる。衆参両院の憲法審査会の始動、そして原発事故を受けた独立した調査委員会の設置である。

現憲法の公布から改正原案を発議できる体制が整うまで実に65年を要した。原発事故調査委をつくる過程で壁になったのは、「民間人による検証組織を国会に設けた前例はない」という声だった。

この20年を振り返っただけでも、日本は難しい決断をいくつも迫られた。重要な政策判断について、国会が一度も第三者機関で検証したことがないという事実にまず驚かされる。

1991年の湾岸戦争は、国際貢献のあり方をめぐる転換点となった。日本は130億ドル(当時で約1.7兆円)もの巨費を拠出しながら「カネだけを出して汗をかかない国」との厳しい批判を浴びた。

数年前、当時の経緯を今どう評価しているのか聞かれた外務省幹部は自嘲気味にこう語った。

「41年の日米開戦で外務省は対米覚書の清書と伝達に手間取り、真珠湾攻撃は『だまし討ち』と言われた。その責任すらあいまいなのに、湾岸戦争の総括ができるわけがない」

93年のウルグアイ・ラウンド合意では、コメ市場の部分開放と引きかえに約6兆円の農業対策を決めた。90年代以降、バブル経済の後始末で金融機関に投入された公的資金は50兆円規模(うち現時点の損失確定は10兆円強)に上る。

今回の原発事故調査委の旗振り役になった自民党の塩崎恭久氏は半年間、与野党議員を同じ言葉で説得し続けた。

「日本は重大な原発事故を起こし放射性物質を大気中や海洋にまき散らした。その検証を当事者の政府だけに任せて、世界に対する責任が果たせるのか」

念頭にあったのは米国の例だ。大恐慌後の30年代に米議会に置かれた「ペコラ委員会」。79年のスリーマイル島原発事故を受けた大統領直属の「ケメニー委員会」。2001年の米同時テロ、08年のリーマン・ショックでも詳細な調査報告書が公表された。

自民党内ですら「わざわざ第三者機関をつくらなくても国会議員が審議すればいいじゃないか」との慎重論があった。各党が賛成して設置法の成立にこぎ着けたのが9月末。施行日は「国会召集から起算して10日を経過した日」、つまり10月30日である。

専門家からなる民間委員は、衆参両院の合同協議会が決める。参考人の招致や資料提出を国政調査権でサポートし、半年後の報告書の提出までを法で規定している。事件や事故を受けた国会の報告書自体が「薬害エイズなどを除きほとんど例がない」という。

10月10日、薄曇りのワシントン・ダレス空港に参院の大調査団が降り立った。

参院東日本大震災復興特別委員会の増子輝彦委員長(民主)を団長とし、与野党の15議員が参加。スリーマイル島の事故現場や原子力規制委員会などに足を運び、事故の検証結果がその後の政策にどう反映されたかを中心に調査した。

増子氏は「フクシマと言うだけで相手の反応が全く違う。今回の事故への国際的な関心の高さを実感する旅になった」と語る。

重大な出来事であればあるほど、責任を問われる側には守りの意識が働く。だが失敗を直視しないままで次の戦略は描けない。

日本の原子力政策はどこで何を間違ったのか。いま議論せず、いつするのか。行政府から完全に独立した事故調査委は、「検証なき国家」の前例を変える可能性を秘めている。

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"1024日本、人口減り続け…2050年、16位転落"

経済力や政治力が人口に比例するとしたら、今後40年間に世界の勢力図は塗り替わる。

世界最大の人口を抱える中国は2020年代に人口増加が止まる見込みだ。代わって出生率が高いインドが首位に浮上する。現在の人口大国は中国・インド・米国だが、2100年にはナイジェリアが3位、タンザニアが5位に食い込んでくる。

一方で、ドイツや中国、韓国は出生率の低さなどから今後40年間で人口規模が縮小する。減少幅が14%と際立って大きいのが日本。1950年には日本の人口は世界で5番目だったが、すでに10番目。50年にはフィリピンやメキシコなどに抜かれて16番目になる。

世界経済が人口高齢化に直面する。2050年に世界人口は1.3倍になるが、この間に65歳以上の高齢者は3倍に増える。とくに急速な高齢化に見舞われるのが東アジア。労働力の不足や社会保障費の増大が高成長のアジア経済の基盤を揺るがす可能性がある。(松尾洋平)

東アジアで顕著



今月31日、世界人口が70億人を突破する。世界人口の増加ペースは1960年代後半の年2.1%から年1.1%に鈍ってきた。それでも国連の推計では、今後40年間で世界の人口は93億人に膨らんでいく。

年齢構成も大きく変わる。貧困や疫病が原因とされる人口爆発が少なくなって若年人口の伸びは鈍るが、高齢者は3倍の15億人に増加する。とくに動きが激しいのが東アジア。総人口は1950年の6.7億人から2010年には15.7億人に拡大。それが50年には6000万人減ることになる。高齢者数は今後40年間で1.5億人から4億人に急拡大。人口に占める高齢者の割合は55年に29%に達し、成熟社会の欧州を上回る。

人口変動は経済にどんな影響を及ぼすのか。

アジア開発銀行(ADB)は人口増加によって直近30年間で1人当たり国内総生産(GDP)の伸びが1%程度押し上げられたとみている。消費市場の拡大やそれに見合った投資が経済成長を支えてきた構図だ。だが人口減や高齢化はマイナス要因として働く。30年にかけて中国やタイの1人当たりGDPは年0.8%程度、韓国では1.4%押し下げられる。

企業の生産やサービスなどの供給力にも陰りが出る。日本総合研究所の大泉啓一郎氏は「中国は深刻な労働力不足が懸念される」と指摘する。

かさむ医療費

成長鈍化で税収が鈍るなか、社会保障費の拡大が財政を圧迫する。世界最速で高齢化が進む日本では社会保障費は28.7兆円(11年度当初予算)と政策経費の53%に達する。高齢化率からみれば中国は日本の1970年代、インドは50年代。年金や医療の負担がかさむのはこれからだ。国連人口基金(UNFPA)東京事務所の池上清子所長は「日本の経験を生かして高齢者の雇用拡大や、年金・医療の充実に取り組むべきだ」と話す。

「人が増えるスピードは食料増産ペースより速く、深刻な不均衡が生じてしまう」。18世紀の経済学者マルサスは人口爆発に警鐘を鳴らした。想定とは違って人口増のペースは抑えられたが、成長を維持する枠組みの不均衡は消えそうにない。

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"1002知日派の都、復興支援 日本学盛ん、オランダ・ライデン大学 公開講座・コスプレ・足湯… 震災への関心、つなぎ留め"

世界最古の日本学科を持つオランダ・ライデン大学のお膝元で、東日本大震災後の日本を応援する多様な行事が開かれている。コスプレ、カレーライス、足湯……。風変わりなチャリティーの一方で、大学は「日本のいま」をテーマに公開講座を集中的に開催する。知日派の拠点ならではの知恵と工夫。日蘭交流の開始から400年を経て、両国の絆を再び強めようとしている。



日蘭交流の拠点である博物館、シーボルトハウス



シーボルトハウスが主催する支援イベントはコスプレなどがテーマ(シーボルトハウス提供)

鎖国時代の日本を訪ね、西洋医学を伝えたシーボルト(1796~1866年)。その弟子が19世紀半ばに日本学という学問をつくり、最初の教授職に就いて以来、ライデン大学は欧州での日本研究の中心的な役割を担ってきた。

震災後の日本支援の中心を担ったのは、博物館シーボルトハウス。シーボルトが実際に1830年代に住んだ場所にあり、日本から持ち帰った収集品を公開している。「我々は蘭日両国をつなぐ特別の役割がある。すべてはここから始まった」と館長のクリス・スヒールマイヤーさんは話す。

震災直後の3月19日、「千羽鶴に祈りを込め」と題するイベントを開催。約千人が5千羽の折り鶴をつくり、在オランダ日本大使館に寄贈した。

「コスプレ衣装の女性と写真を撮りませんか?」。5月29日、シーボルトハウスの周辺で開いた日本関連の青空市「ジャパン・マーケット」では、コスプレの衣装をまとったオランダ人が集結、写真1枚ごとに1ユーロを寄付してもらい、総額1680ユーロを集めた。

ライデン大に留学中の日本人らは「若武者」という組織を結成。青空市では日本風カレーライスを1杯4ユーロで販売した。メンバーの一人、有田千枝さんは「炊飯器を5台用意して走り回った」と振り返る。

10月29日には博物館の前に、足をお湯につけて温まる「足湯」が特設される。「日本の文化はお風呂。楽しみながら見えない日本文化を紹介したい」と主催者の一人、ロッテルダム在住の田嶋正行さん(40)は語る。

震災直後はオランダ国内でも義援金を集めるためのコンサートやサッカーの試合が相次いで開かれたが、最近は下火気味。ライデンの行事はオランダ人の関心をつなぎ留めようとあの手この手で工夫したのが特徴だ。

大学の日本学者も動いた。震災後、オランダ国内では「悲劇を前に感情を出さない日本人」「西欧の『罪の文化』とは違う『恥の文化』」といった日本人に対する紋切り型の報道が相次いだ。

義憤にかられたイフォ・スミッツ教授(日本学科長)はオランダ紙に「すべての日本人はストイックな神風なのか?」と題した記事を寄稿。「日本人だって感情的に反応している。ただ、それはオランダのメディアの期待している方法でないだけだ」と反論した。

「日本の社会、文化の事実をきちんと伝えたい」と話すのは、カタジーナ・チフィエルトカ教授(近代日本研究)。10月にはノルウェーの政治学者を招き、震災時の自衛隊の活動について講演。11月にはデンマークの漁業を専門とする人類学者が東北で調査活動をした結果を報告するという。

ライデン大日本学科には毎年100人超の学生が入学し、20~30人は日本に1年間留学する。若者が日本に関心を持つきっかけはアニメ、漫画、Jポップなど。それでも「最近は地震をテーマに日本を研究したいという学生が現れてきた」とチフィエルトカ教授は目を細めている。

(ライデンで、瀬能繁)

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"0922日本文化、東南アに発信 食やファッション・アニメ シンガポールと政府間協力"

日本食やファッション、アニメなどの日本文化を東南アジア向けに発信するため、政府はシンガポールとの包括的な協力体制を整える。枝野幸男経済産業相が23日、シンガポールで同国のイブラヒム情報通信・芸術相と会談して合意する。日本はシンガポールを東南アジアの拠点と位置付け、インドネシアやベトナム向けの情報発信を強化する構え。

日本が外国政府と文化関連産業の協力枠組みを整えるのは初めて。シンガポールは日本のファッション関連企業などのアジア市場開拓を支援し、日本はシンガポールの大学にデザイン分野の講師を派遣するなど、人材の育成で協力する。

シンガポールでは東北地方の食材関連の企業が地元外食大手と組み、日本食のアンテナショップを展開。東日本大震災の被災地支援の一環として日本食を浸透させる取り組みを始めた。

政府は今回の枠組みや「クール・ジャパン海外戦略展開支援」を通じて海外展開を後押しし、将来の輸出産業に育成したい考えだ。

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"0821(上)円高揺らぐ増産効果(下)円高苦境、買収に活路 余剰マネー生かす 国内空洞化リスクと裏腹"

東日本大震災後の業績低迷から抜け出そうと模索する上場企業に、円高の試練が襲いかかってきた。2011年度上期(4~9月)の連結経常利益は前年同期比で24%減るが、下期(10月~12年3月)は2割強の増益――というのがこれまでの回復シナリオ。しかし最高値を記録してなお先高観が強い円相場と、世界景気の減速懸念で、収益の先行き不透明感がにわかに強まっている。

営業益4000億円減

「もはや厳しいというレベルを超えている」。ホンダの池史彦専務は急激な円高をこう表現する。自動車大手7社は12年3月期、円高による営業利益の目減り額が4000億円を超す恐れがある。リーマン・ショックに見舞われた09年3月期からの累計では、3.5兆円の利益が円高で消える計算だ。

もともと今下期の業績回復は「自動車頼み」の様相があった。

三重県松阪市にあるセントラル硝子の松阪工場。止まっていた自動車ガラスの生産ラインで、再稼働に向けた整備が進む。増産態勢に入る自動車メーカーからの注文に応じるためだ。工程によっては1日2交代から3交代に増やすことも検討している。

上期に400億円の営業赤字を見込むトヨタ自動車は、下期に5000億円規模の黒字に転換する見通し。震災直後の4~6月期はサプライチェーン(供給網)の寸断で自動車生産が落ち込み、多くの産業が「減産減益」に見舞われた。サプライチェーンがつながる下期は、自動車を起点に「増産増益」の連鎖を見込む企業が多い。

日立製作所は自動車の電子制御システムが復調し、利益予想を上方修正した。商船三井は自動車運搬船100隻中30隻が待機していたが、下期はフル稼働になると想定している。

積み上がる在庫

脱震災の安堵感も出始めていた産業界に円高が冷水を浴びせた。大和証券キャピタル・マーケッツは期初に主要200社の経常利益予想を1ドル=82円の前提で集計。1ドル=77円なら「8500億円以上の利益が吹き飛ぶ」と試算する。19日には一時75円台に突入した。

円高と並んで企業に立ちはだかるのは、欧米を中心とする景気減速リスクだ。

ソニーは6月末の電機部門の在庫が前年同期から約1割増えた。金融不安に見舞われた欧州が厳しい。現地の倉庫には今も、昨年モデルの大型テレビの在庫が眠る。

東京エレクトロンは1日、経常利益の見通しを1020億円から520億円へと下方修正した。パソコンの販売低迷で半導体在庫がたまったためだ。「潮目が変わった」。常石哲男副会長は世界景気の減速に身構える。

苦境の中でも、立ちすくむわけにはいかない。オリンパスは「構造的な円高抵抗力を身に付ける」(川又洋伸取締役)ため、15年3月期までに海外生産比率を50%(前期は40%)に引き上げる方針を打ち出した。日産自動車も生産の海外シフトなどで輸出を大幅に減らし、為替リスクを抑える考えだ。

聖域なきリストラを合言葉に過去の円高と戦ってきた日本企業は、震災を経て「聖域なきグローバル化」に照準を定めようとしている。

 一時初の1ドル=75円台に急伸した円相場。有力企業は今期の想定レートを80円程度に設定しており、今の為替水準は収益を圧迫する。だが「強い円」は海外企業を安く買収する機会も提供する。国内の空洞化リスクを抱えつつ、企業は新たなグローバル戦略に活路を求めようとしている。(1面参照





アサヒはNZ大手に続き、東南アジアでのM&Aをめざす(18日、東京都千代田区)

海外M&A続々

大手投資銀行のM&A(合併・買収)責任者のもとに、企業から次々と相談が持ち込まれている。「海外の買収案件を探してほしい」。1ドル=70円台が定着した8月になってこうした依頼が急増した。「日本企業が海外でM&Aを展開する大買収時代が来るのではないか」。この責任者は興奮気味に語る。

実際日本企業による海外企業のM&Aは増勢をたどっている。トムソン・ロイターによると、今年の実績は380件と過去最高のペース。なかでも新興国での買収が目立つ。中国が69件と米国(63件)を上回り、韓国、インド、タイも高水準だ。

アサヒグループホールディングスは18日にニュージーランドの酒類大手の買収を発表。今後は東南アジアでのM&Aを目指す。

日本の上場企業は11年3月期に営業利益の8割を海外で稼ぎ出した。収益源の確保と円高対策を狙って、グローバル拠点の整備を急いでいる。

上場企業のバランスシート(貸借対照表)をみると、余剰マネーが投資に向かい始めた様子が分かる。東日本大震災後、多くの企業は手元資金を厚くする「守りの財務」に徹した。だが6月末の手元資金(3月期決算企業)は62兆円と、過去最高だった3月末から5%減った。資金需要も上向き、有利子負債は3四半期ぶりに増加に転じた。

「成長のためなら、借入金が増えても問題ない」。イタリアの建材大手パルマスティーリザを630億円で買収する住生活グループの藤森義明社長は言う。中国やインドに強いパルマを傘下に加え、海外売上高比率を3割に高める計画だ。武田薬品工業も1兆円超を投じてスイスの製薬大手を買収し、実質無借金経営と決別する。

国内縮小見越す

世界の舞台を目指す企業。株式市場もグローバル競争力という評価軸で企業をふるいにかける。

東京・丸の内。BNPパリバ証券にヘッジファンドから奇妙な組み合わせの株式注文が来たのは7月下旬のことだった。「味の素を買い、香港のグローバル・バイオ―ケム・テクノロジーに空売りを出してほしい」

両社は飼料用アミノ酸「リジン」でしのぎを削る。ペアトレードと呼ぶ売り買いの組み合わせは、味の素が優位に立つという予測の表れだ。

日本企業が「買い」とは限らない。最近取り沙汰されたペアは「デンソーの売り・現代モービス(韓国)の買い」。現代モービスは4月、自動車部品会社の時価総額で世界首位の座をデンソーから奪い、市場の話題を呼んだ。BNPパリバ証券の岡沢恭弥氏は「アジアのなかの日本という競合の構図を投資家は意識している」と話す。

世界で戦い、市場の評価を勝ち取るのは容易ではない。だが、グローバル戦略を軌道に乗せれば企業は着実に強くなる。

「1ドル=70円台半ばになっても大きな影響はない」。ブリヂストンの江藤彰洋最高財務責任者(CFO)は自信を示す。

同社は1988年に米タイヤ大手ファイアストンを買収。赤字が続き、2000年には大量リコールが米国で社会問題になった。それでもあきらめずに黒字化にこぎ着け、グループの海外生産比率を70%に高めて為替リスクを減らした。

海外M&Aは国内の雇用問題を深刻化させかねない。しかし、企業は少子高齢化で国内市場が縮むという厳しい現実にも直面している。生き残りを賭け、資金力を生かした円高買収の奔流は始まったばかりだ。

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"0814「平成の開国」米の本音 ワシントン支局 矢沢俊樹"

あるホワイトハウス高官によると、対日政策に大きな影響力を持つ「ジャパンハンド」の間で今春、日本の環太平洋経済連携協定(TPP)参加に関しこんな「仮説」が議論された。

地震と津波で壊滅的打撃を受けた東北地方の農地を政府が一時買い上げ大規模化し、意欲的な若者や企業に農業経営の門戸を開く。高齢の農業者は国が手厚く保障し必要なら海外移住も支援する。農の国際競争力向上に道筋をつけ、復興とTPPを両立させる――。

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日米首脳が腹を割って語るべき課題は山積(昨年9月に会談した菅首相とオバマ大統領)=共同

日本の現実とかけ離れた米流合理主義といえばそれまで。同高官も「やはり幻だった」と苦笑するが、「平成の開国」に対するホワイトハウスや国務省の強い関心を映す。日米外交上、日本のTPP早期参加の意味合いは大きいのだ。

ところが米通商戦略からみると、様相は一変する。米側司令塔としてチリなど8カ国あるTPPメンバー国と調整にあたるのは米通商代表部(USTR)だ。

大統領直属で強力な交渉権限を持ち、クリントン政権下の日米自動車問題など数々の歴史的な貿易摩擦で日本に牙をむいた。その「本音」を、USTRと接触が多い日米交渉筋はこう解説する。「求心力を失った日本の政権が中途半端な方針を決めて合流すれば、かえって交渉全体の妨げになりかねず、逆効果だ」

ならばまず現メンバーで全体ルールを確立し、外堀を埋めて日本に二者択一の政治決断を促すのが賢明だ。日本が入れば、中国に対し通商ルール順守の強烈な国際圧力になり得る。これがUSTRの冷徹な現実主義との見立てだ。

TPP自体も厚い壁に突き当たっている。米豪からベトナムまで、発展段階が大きく異なる国々による自由貿易協議の難しさは想像を超える。

11月にホノルルで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でも交渉妥結にはほど遠い見通しだ。「枠組み合意のかなり手前」(当局関係者)の方向確認にとどまる公算が大きい。

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足踏みの一因は米自身にもある。債務上限問題など深刻な党派対立のあおりで米韓自由貿易協定(FTA)などの批准が遅れ気味。USTRなども議会との調整が遅れ、TPP協議で提示するはずの知的財産保護など重要ルール案提示を先送りしている。

こうした中で欧州連合(EU)は韓国などとのFTAで先を行く。米も内心穏やかでないが、雇用・景気情勢が悪化すれば米議会で保護貿易主義的な傾向が強まりかねず、TPPの先行きはさらに険しい。

「TPPのドーハ化」。当事者の間では膠着が続く世界貿易機関(WTO)の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)の二の舞いを恐れる声も広がり始め、岐路を迎えた。

日本も本来ならルール作りの段階からTPPに積極関与するのが筋だが、現在の内政の状況では絶望的。むしろ、TPPは政治的にタブー視されつつある。

TPPはもちろん日米首脳が腹を割って語るべき課題は山積している。菅直人首相の月内退陣が確定的となった。来月のニューヨークでの国連総会に出席する首相が誰であっても、米側はその姿勢を見極めようとする空気が強い。貴重な時間の空費が続く。

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"0813開国(6)インフラ輸出、揺らぐ信頼"

「アルストムとフランス国鉄(SNCF)はブラジル高速鉄道の入札へ検討に入る」。仏の重電・輸送機器大手アルストム幹部は1日、ブラジル政府が高速鉄道の入札条件を変更するとの情報を受けこう語った。サルコジ大統領も売り込みに動いているとされ、建設から運営まで“オールフランス連合”での落札に意欲をみなぎらせる。



首脳が動く仏韓

鉄道は仏の主要輸出品だ。最近もモロッコとイタリアがアルストム車両の導入を決めた。海外のインフラ建設をトップ外交で取りに行くのは仏のお家芸。サルコジ外遊には原子力のアレバや航空機のエアバスなどの首脳が随行し、官民一体で相手国の信頼を勝ち取る。

2012年までに海外で700億ドルの建設を受注し、世界十大海外建設強国に入る――。同じく官民の総力を集める韓国。昨年1月に海外プラントの市場開拓で数値目標を作った。首脳会談を通じたトップセールスを広げ、輸出入銀行や輸出保険公社による金融支援も拡充している。

インフラ輸出を国策として進めるのが世界の潮流となる中で、日本も昨年6月、重い腰をあげた。ベトナムの原発や英国の高速鉄道、インドネシアの高効率火力発電所など、国際競争での“成功例”も出た。民間を官が支える仕組みができ軌道に乗りかけたところで、東日本大震災が起きた。

震災後に白紙に戻った例はないが、政局混迷で煮え切らぬ日本に海外もしびれを切らし始めた。

日本と原発建設交渉を進めるトルコ。6月下旬、駐日大使館関係者の間には日本政府への不満が渦巻いていた。国土交通省や経済産業省に通い交渉継続の意向を探るものの、各省は「原発事故が安定するまで待ってほしい」の一点張り。7月末の期限直前にようやく経産省幹部がトルコを訪問し、交渉継続が固まった。これではどちらが受注したいのかわからない。

首相と政府矛盾

「原発事故を経験し、安全な技術としてコントロールできるか疑問を感じた」。7月19日の衆院予算委員会。小池百合子自民党総務会長の質問に、菅直人首相はこう答えた。首相が日本の技術に自信を持てないのに、政府は8月5日、「海外で希望があれば日本の技術を提供する」との答弁を決めた。こんな矛盾した対応では、早晩海外から相手にされなくなる。


日本には弱みもある。宮脇淳北大教授は「日本は財政資金をふんだんに使う公共事業で培った高コストなインフラばかり。運営でも発注先のニーズにきめ細かく応えきれない面がある」とみる。世界の信頼を失わないうちに、固有の技術を根付かせるノウハウを磨けるか。もう一度、官と民の力を結集する仕組みを作り直す必要がある。

「オールジャパン」から「イニシアチブ・ジャパン」へ――。政府は震災後、インフラ輸出推進の旗印を見直した。純“日の丸連合”では情報を持つ現地企業との連携が難しい。日本の主導権を保ちつつ、現地資本との連携を深める。的確な情報で最大限の投資効果をあげたいとの姿勢がにじむ。

経済協力開発機構(OECD)は世界のインフラ開発需要を2010~30年で約3700兆円に上るとみる。日本の国内総生産(GDP)の7倍超。アジア開発銀行(ADB)は10~20年のアジアでのインフラ需要を約640兆円とはじく。日本の受注目標は昨年6月の新成長戦略で示した19.7兆円。インフラ輸出の成否は日本経済の成長シナリオともかかわる。

一方、金融機関はインフラファンドをテコに企業を後押しする構えだ。三井住友銀行はインドでのファンドを設立、野村証券もアジアでファンドを作る方針。機関投資家らの資金で道路などの公共施設を所有・運営し、その配当収入などを投資家に再配分する。大和総研の藤井佑二氏は「日の丸ファンドが増えれば、日本の受注機会も増えるはず」とみる。

(おわり)

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"0811日本企業誘致、タイがリード 生産拠点分散で上期投資2.3倍 円高も影響、裾野産業が集積"

【バンコク=高橋徹】東南アジアのモノづくり拠点タイへの日本企業の進出が一段と拡大している。今年1~6月の日系企業の直接投資額(認可ベース)は前年同期比で2.3倍に急増。東日本大震災後の部品供給網の混乱で生まれた生産拠点分散の機運が最近の円高傾向で加速する中、インフラや裾野産業の集積で強みを持つ同国が日本企業誘致の最大の受け皿として域内国に先行する構図が鮮明になってきた。





エンジン部品などを加工するタイの日系部品メーカー=共同

タイ投資委員会(BOI)によると1~6月の国外からの直接投資額は30%増の1550億バーツ(約4200億円)、投資件数は25%増の471件。うち日本からの投資額は875億バーツ、投資件数も65%増の241件にのぼった。日本は対内投資全体の伸び率を大きく上回り、投資額、件数とも過半を占めた。

■非製造業は出店拡大 増産投資だけでなく、付加価値の高い製品の現地化に踏み切る例が目立つ。JFEスチールと新日本製鉄は、日本から輸出する自動車の表面処理鋼板を2013年からタイ新工場で生産。自動車部品のジャトコも同年から無段変速機(CVT)を現地生産する。

内需拡大に着目し、進出は製造業以外にも広がる。ファーストリテイリングは主力のカジュアル衣料品「ユニクロ」を年内に3店出店、20年までに100店体制を整える。

バンコク日本人商工会議所の直近調査では、日系メーカー(回答した228社)の11年度の設備投資計画額は10年度比94%増。同会議所に4~6月に寄せられた進出相談は56社と前年同期の3.7倍に増えた。うち4割超は人材派遣、コールセンターなど「日系各社の進出拡大を見越した」(石井信行事務局長)サービス業だ。

■自治体も窓口設置 日本側で中小企業の進出支援の動きも広がる。福岡県は日本の自治体で初めてバンコク事務所を開設。岡山県もコンサルタント会社に委託し、8月1日付で県内企業のタイ事業支援のためのサポート窓口を開設した。タイ銀行大手カシコン銀行は日本の地銀十数行と提携し、地銀各行の融資先のタイ進出支援や信用状担保融資を行う。

東南アの10年の対内直接投資受け入れ額(ドルベース)では、タイはベトナム、インドネシアに次ぐ3位だが、日本からの投資に限れば33億ドル(約2600億円)と2位のベトナムの1.6倍に達する。アジア主要国との比較でも中国(42億ドル)に次ぎ、インド(13億ドル)を大幅に上回る。

■政情安定で加速も タイには既に7000社の日系企業が進出済みでマレーシアの約1400社、インドネシアの約1300社を大きく引き離している。ここ数年の政情混乱などマイナス要因にもかかわらず、集積がさらなる集積を呼んでいる図式だ。

15年の東南アジア諸国連合(ASEAN)経済共同体発足をにらみ、タイを域内市場攻略の戦略拠点に位置付ける動きも進む。6800万人の人口を抱え、輸出と内需向けでバランスのとれた事業展開が可能なのも強みで、新政権下で政局が安定すれば、日本からの企業進出はさらに加速するとみられる。

【ジャカルタ=野沢康二】東南アジア域内ではインドネシアやフィリピンなども日本企業の進出誘致を競う。だが、タイに比べると規模は小さい。インフラ整備の遅れが制約となっている形だ。

円高が進み、中国で労働力不足や賃金の上昇が顕著になる中、東南アジア諸国連合(ASEAN)は「投資先として東南アジアへの関心は再び高まってきた」(スリン事務局長)とみている。域内の直接投資受け入れは2010年に758億ドル(約6兆円)と前年から倍増した。

ただ、タイ以外の国への日本企業の投資は必ずしも大きく伸びていない。1~6月に国外からの直接投資が前年同期に比べ16%増と伸びたインドネシアでも、日本からの投資は約7億ドルとタイの4分の1程度。フィリピンは1~3月で日本からの投資が47億2800万ペソ(約85億円)となり、前年同期比54%減った。両国とも進出にあたって外資が重視する道路などインフラの不足が弱点になっている。

マレーシアは日本からの投資が1~3月で2億5800万リンギ(約65億円)と、前年同期に比べ40%減。中進国に近づき、単純労働者の不足と賃金の上昇が進出企業にとって深刻になっている。

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"0810人口2年連続減、1億2623万人 3月末時点、被災22市町村の集計できず"

総務省が9日発表した住民基本台帳に基づく2011年3月末時点の人口動態調査によると、日本人の総人口は1億2623万625人だった。今年は東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島3県の22市町村が住基台帳の流失などで集計できなかった。この22市町村を除いた前年比較では12万2679人の減少。総人口は前年に続き2年連続で減った。(関連記事総合・政治面に

住基台帳の人口は毎年3月末に住民票に記載されている人の数。日本に住む外国人は含まない。市町村が住基台帳の人口を集計できない事態は調査開始以来初めて。

10年度の出生数は106万5909人で、3年連続減少。死亡数は過去最多の121万2094人。死亡数から出生数を引いた自然減は14万6185人で、過去最多を4年連続で更新し、人口減少の進行を裏付けた。

都道府県別で人口が増えたのは東京や神奈川など8都県。大阪は昨年の増加から減少に転じ、39道府県で人口が減った。人口の大都市集中の進展で総人口に占める東京、名古屋、関西の三大都市圏の人口の比率は過去最高の50.91%となった。

年齢区分別では主な働き手である15~64歳の生産年齢人口の比率が0.08ポイント低下の63.82%で過去最低を更新。0~14歳の年少人口は13.35%に低下、65歳以上の老年人口は22.83%に高まった。

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"0810 12の日本文化、輸出支援 経産省が選定 イタリアで東コレ 米で「ゴパン」販売"

経済産業省は、食やファッションなど文化産業で海外での事業展開を支援する12事業を選定した。東京コレクションをイタリアとインドで開催。コメ卸最大手の神明や三洋電機などが米国でコメを使ったパン焼き器「GOPAN(ゴパン)」などを販売する事業も支援する。政府が進める「クールジャパン」戦略の一環で、2020年に世界の文化産業市場で8兆~11兆円の売り上げを目指す。

東京コレクションは12年1月にイタリア・フィレンツェで、同年3月にはインド・デリーで開催する予定。良品計画やカルピスも参加する。出店した商品は現地のネット通販企業と組んで富裕層に販売する。

米国では9月に神明がロサンゼルスでお握りを販売し、その横でコメや「GOPAN」などを売るアンテナショップを開く。

インドでは人気アニメ「NARUTO(ナルト)」を手掛けるアニメ制作会社ぴえろ(東京都三鷹市)が現地企業と共同で、10月からアニメ制作を始める。

中国では吉本興業の芸人が日本の地方の特産品を上海のテレビで紹介し、中国ネット通販最大手「淘宝網(タオバオ)」などと組んで販売する。TOTOやパナソニックなどの企業連合は北京などで省エネ家電などを備えた環境対応型の住宅をパッケージで売り込む。

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